補聴器の装用効果の確認
補聴器を購入していただき慣れた頃に補聴器の効果がどのくらいあるかを客観的に測定します。
今回はすこし残念な例です。
先ずは下のグラフ。その人が聞こえる一番小さい音がどのくらいかを補聴器をしているときとしていないときとで比較しています。
グラフの上にいくほど良い結果です。×は裸耳、×は装用耳です。この方は右耳はほとんど聞こえていないので左のみの測定です。
音の聞こえはずいぶん改善されています。1000や2000Hzなんかは聞こえすぎ?と思うくらい。対して4000Hzの聞こえは補聴器をしてもちょっと悪いように見えますが、ここを上げすぎると食器の重なる音がうるさいんですよ。この状態でもうるさいと言われています。なのでなかなか上げにくい・・・でもそれ以外は良いのではないかと思います。
残念なのは次。言葉の聞き取りの測定です。同じく×が裸耳、×が装用耳です。裸耳の場合80dB、70dBで45%、30%の聞き取りができていますが、これが低い!
補聴器は言葉を大きくするだけで、ぼやけた言葉をはっきりさせることはできません。つまり補聴器をすれば言葉は大きくなるのですが、正答率は裸耳の結果以上にはならない。たとえば80dBで80%の正答率、50dBで40%の正答率の方がいたとしましょう。この方に補聴器を装用してもらい音を30dB大きくしたとします。そうすると50dBの音は80dBで聞こえるので80%の正答率が得られることとなります。これが90や100%にはならない。ぼやけた言葉をはっきりはさせないのです。
今回の方の場合は補聴器をすれば60dB、70dB共に45%なので裸耳よりは良くなっているのですが、その値が45%というのが問題なんです。言葉は繋がっていますので60%の正答率があれば会話は成り立つと言われていますが、45%ではなかなか難しいです。ゆっくり話せばご理解頂けますが、通常の会話は無理なようです。
この方難聴レベルは中等度難聴なので決して悪いわけではないのです。難聴レベルの決定は純音測定(このグラフの下の測定)だけで決定されるのですが、その割に言葉の聞き取り(上のグラフ)が悪いのです。
補聴器で言葉の理解力を上げることができたらもっと良いのでしょうがまだまだですね・・・・