【アニサイコニアの罠】吹き矢の的が2重に見える!?左右の度数差とコントラストが引き起こした「不等像視」を解決したお話
奥様のご紹介で初来店された、吹き矢がご趣味の70代男性】 「今まで使っていた遠近両用メガネを失くしてしまって……新しく作りたいんです」 そう仰ってご来店くださったのは、当店を初めてご利用いただく70代の男性のお客様でした。 当店のお客様である奥様から「淀屋さんなら親身に見てくれるわよ」とご紹介いただき、わざわざ足を運んでくださったのです。 詳しく視力測定を行ったところ、かなり強めの遠視と乱視があることが分かりました。そこで、レンズには最高峰の両面設計であるニコン(Nikon)の「センチュリーAI」をお選びいただきました。
このお客様、実は「スポーツ吹き矢」がご趣味とのこと。 1.2メートルほどの長い筒から息を吹き込んで矢を飛ばし、10メートル先にある直径25センチほどの的を狙う競技です。 「センチュリーAIなら、10メートル先の的もめちゃくちゃハッキリ綺麗に見えますから、きっと腕前が上がりますよ!」なんて、私も冗談を交えながら楽しくお話ししてお渡しいたしました。
【「的が2重に見えて、練習にならなかった……」まさかのSOS】 ところが後日、お客様が吹き矢の練習帰りにそのまま当店へ駆け込んで来られました。 「淀屋さん、新しいメガネを初めて練習で使ってみたんやけど、的が2重にダブって見えてしまって、全然練習にならなかったんや……」 その言葉を聞いて、私は「えっ!?」と一瞬耳を疑いました。
通常、物がダブって(2重に)見える場合は、加齢による目の筋肉のたるみ(サギングアイ症候群)や、視線のズレ(斜位)などが疑われます。 しかし、お渡し前の入念な視力測定では、そのような異常がないことをしっかりと確認済みだったため、本当に驚きました。 改めてお顔のフィッティングや度数を細かく確認し、眼位のズレも測定し直してみましたが、やはり若干のズレはあるものの、ほぼ正常の範囲内。「普通の生活環境では全くダブらないのに、吹き矢の的を見るとダブる」という、非常に不思議な状態でした。
【プロの考察】引き金は、まさかの「1.75Dの度数差」と「高いコントラスト」
【アニサイコニア(不等像視)の隠れた牙】 頭を悩ませながらお客様の測定データを凝視していたとき、ひとつの可能性が頭をよぎりました。 このお客様は、右目と左目の「遠視の度数差」が【1.75D(ディオプター)】あったのです。 専門用語で「アニサイコニア(不等像視)」と呼ばれる現象があります。左右の度数の差が「2D以上」ある場合、メガネをかけたときに左右の網膜に映る「物の大きさ(倍率)」に差が出すぎてしまい、脳が1つの像に統合できずに物がダブって見えてしまうことがあります。
今回の度数差1.75Dは、一般的には「脳が自力でカバーできる許容範囲内」と判断される数値です。そのため、私も最初の測定時には「大丈夫」と判断していました。 しかし、ここに「吹き矢の的」という特殊な使用環境が重なったことで、隠れていたアニサイコニアの牙が剥き出しになってしまったのです。
【コントラストが高い環境ほど、ダブりを感じやすくなる】 吹き矢の的を思い浮かべてみてください。中心から白、赤、青、黄色、黒など、非常に「コントラスト(色の対比)」がハッキリとしたデザインをしています。 実はアニサイコニア(不等像視)には、「コントラストが低い(ぼやけた)環境ではダブりを感じにくく、コントラストが高い(輪郭がクッキリした)環境ほどダブりを猛烈に感じやすくなる」という驚くべき特性があるのです。 普段の穏やかな景色の中では、脳がなんとか誤魔化せていた左右の像のサイズ差が、ハッキリした「吹き矢の的」を見た瞬間に誤魔化しが効かなくなり、的が2つに分裂して見えてしまっていた。これが真相でした。
【職人の解決策】度数の差をあえて縮め、快適な視野を取り戻す!
【「これならダブらない!」お客様の目の前で度数を微調整】 原因さえ分かれば、一級眼鏡作製技能士として解決への道筋を立てることができます。 今回は、あえて視力そのものはほんの少しだけ低下(妥協)させる代わりに、左右のレンズの度数差をグッと小さくして、網膜に映るサイズ差を均等に近づけるアプローチをとりました。 テスト用レンズをお客様にかけていただき、「これで10メートル先のハッキリした的を見てみてください」と確認していただいたところ……
「おぉ!今度は全然ダブらない!1つに綺麗に見えるよ!」と、お客様の顔にパッと素晴らしい笑顔が戻りました。

【まとめ】使用環境によって異なる不具合。視力測定は本当に奥が深い!
【真由美の思い:お客様の「使いたい場面」の数だけ、最適なメガネがある】 いやはや、本当にメガネの視力測定というのはどこまでも奥が深い世界ですね。 たとえデータ上は「問題のない許容範囲内」に収まっていたとしても、お客様が実際にそのメガネをかけて「何をされるのか」「どんな場所で使われるのか」という環境次第で、思いもよらない不具合が起こることを、改めて肌で実感いたしました。私自身、本当に素晴らしい勉強をさせていただき、お客様には感謝の気持ちでいっぱいです。
私たちは、ただ機械の数字通りにレンズを作るだけの眼鏡店ではありません。 お客様の「お仕事」「ご趣味」「日々の暮らし」のすべてをじっくりとお伺いし、どこまでも快適に、毎日を楽しく過ごせるための「生きたメガネ」をお仕立ていたします。 「メガネを新調したけれど、なんだか特定の作業の時だけ疲れる」「特定の場所で見え方がおかしい」といった、言葉にしにくい違和感をお持ちの方も、どうぞ遠慮なく当店の丁寧なカウンセリングにご相談くださいね。明日も皆様のご来店を心よりお待ちしております!
宝石・メガネ・時計・認定補聴器専門店「淀屋」 1958年創業。大阪・淀川区で「お客様の人生を豊かに、楽しくしたい」という想いを大切にしている専門家夫婦です。一級技能士としての精密な技術と、真由美ならではの温かい視点で、あなたの毎日をパッと明るくするお手伝いをいたします。
【アクセス案内:駅から徒歩圏内の路面店です】
- JR東淀川駅(西口)より徒歩2分:駅を出てすぐ!
- 地下鉄御堂筋線 東三国駅(4番出口)より徒歩5分
- JR新大阪駅からも徒歩圏内
【無料相談・精密な視力測定のご予約はこちら】
- 公式LINEでチャット相談・予約する (※「ブログの吹き矢のメガネの記事を見たのですが…」とお気軽にお送りください!)
- Googleマップで場所を確認・クチコミを見る
- 淀屋 公式ホームページ
- 住所: 大阪府大阪市淀川区宮原2丁目5-19
- 電話: 06-6391-3518
- 定休日: 毎週火曜日・第3水曜日


