遠近両用メガネのメリット・デメリット

老眼世代の人は遠くを見るのにメガネが不要でも近くを見るときには老眼鏡をかけないと近くが見えません。老眼鏡は遠くが見えませんから遠くを見るときにはまたそのメガネを外さないといけません。その点、遠近両用メガネはとても便利なメガネです。ひとつのメガネで遠くから近くまで見えるのですから。

では遠近両用メガネは完璧なのでしょうか?こう問われると残念ながら答えはノーになります。今回は遠近両用メガネのメリット、デメリットについて書きたいと思います。これから遠近両用メガネの購入をお考えの方、あるいは使っているけれど何となく満足できない方、よければ読んで下さいね。

遠近両用レンズのレイアウト

その前に、遠近両用レンズの構造をおさらいしましょう。

イラストで簡単に描くとこんな感じです。メガネをかけたときに瞳がくる位置に遠くが見える度数が入り、そこから下がるほど近くが見える度数に変化します。つまり近くを見るときはレンズの下の方を使わないと見えません。またイラストの白い部分は収差領域といい、どこにもピントが合わない範囲になります。つまり遠近両用レンズは色のついている部分がはっきり見える(明視できる)範囲になります。そうやってみるとレンズの半分くらいしか見える範囲がないんですね(^_^; これがデメリットの一因となります。

遠近両用レンズのメリット

先ずはメリットから見てみましょう。メリットの第1はなんと言っても先に書きましたが、1枚のレンズで手元~遠方までをカバーできることです。それまではレンズに境目があるバイフォーカルレンズが主流でした。

これですね。昔おじいちゃんがかけていたメガネがこんなのではなかったですか?このレンズは名前の通り、焦点(フォーカス)がバイ(ふたつ)です。ですので中間は見づらかったでしょうし、小玉の境界で見えているものジャンプするという欠点もありました。と言いますか見ておわかりのようにかけているとすぐに老眼なんだと分かってしまうの最大の欠点ですね。その後1970年前後より現在と同じように境目のない遠近両用レンズが発売されましたが、当時はとても使いにくいレンズだったそうです。その後半世紀が経ち、技術の進歩とともに多くの人に受け入れられるようになりました。境目がありませんから一見して老眼とは分かりません。最近メガネはおしゃれアイテムとしても認められていますので、メガネをかけていなかった人が突然かけだしてもおしゃれとしてかけているようにも思われますので、その点は抵抗が少ないと思います。

またバイフォーカルは焦点がふたつですが、遠近などの累進レンズ(度数がじょじょに変化するレンズ)はピントが合うところ(焦点)が遠方から近方にかけて無限にあり、レンズのどこかではばっちり見える場所が必ずあるのでその点も便利です。たまにお客様の中に「私のは遠近ではなく遠中近やねん」と言われる方がおられますが、どちらも同じ意味です。

普段からメガネをかけている人にとって掛け替えるというのはとても煩わしいものです。遠くの見える眼鏡を外して老眼鏡をかける・・面倒です。でも遠近両用メガネなら掛け替える手間が要らずとても便利になります。

普段メガネをかけていない方は近くを見るために老眼鏡をかけないといけません。先の場合よりもアクションがひとつ減っているので楽ですが、普段は必要としていないのでうっかり手元に老眼鏡がないとか鞄からごぞごそ探してかける、などこれはこれで面倒ですよね。また老眼鏡だと顔を上げると人や景色がぼーっと見えるので使いづらいです。その点遠近両用メガネだと視線を上げてもぼやけません。どの距離でも見えますし、すでにかけているわけですから探し回る必要もありません。

とにかく慣れてしまえばこんな便利なものはありません。遠近両用メガネをかけておけば見たい距離に合わせたメガネ(例えば老眼鏡、運転用メガネなど)に掛け替える煩わしさは劇的に減ります。

遠近両用メガネのデメリット

さて次はデメリットです。たくさん書くことになると思いますが、最終的に言いたいのはこれらデメリットを考えてもメリットの方が大きいと言うことです。当店のお客様でも遠近両用メガネですべてまかなっている人も多くいます。その人にとっては視生活においては離せない相棒になっているのです。

価格

当店では一番お求めになりやすい単焦点レンズは2枚1組で¥7,700円(以下価格はすべて税込です)です。遠近両用レンズは2枚1組で¥16,500円からになります。この差は大きい。しかも老眼は3~5年で進みますからそのたびにレンズを交換しないといけません。また高性能遠近両用レンズだとそれ以上しますので価格的に負担は大きくなります。でも考えてみて下さい。¥16,500円のレンズを短く見積もり3年間使ったとして1日に換算すると約15円、月換算でも約460円です。それだけの出費で遠くから近くまで見えるのですよ。お得と思いませんか?ちょっと話がそれますが、老眼世代でない方にとって今とても多い格安メガネ店はとてもありがたい存在だと思います。複数所持などもできますし、見え方もきっと満足されているでしょう。私も否定するつもりは全くありません。ですが、老眼世代になるとそうはいきません。眼も疲れてきているのです。そのためには手厚い介護が必要になってくるのです。残念ながら先のメガネ屋さんではその点の技術が正直おぼつかない場合もあるようです。経験を積んだスタッフがいるお店で少々お高いメガネを購入することになりますが、これはある意味仕方がないと思って下さい。単焦点レンズに比べると高額ですが、それ以上のメリットがあると思いますし、日割り計算だと十分に元を取っていると思います。

慣れやすさ

遠近両用メガネを購入したけど慣れなかった。ちょくちょく聞くかなしい話です。ですが、当店にとってはそんなことある?と思っています。まずは安心していただきたいのですが、当店で遠近両用メガネを購入して慣れなかった場合、何度でも作り直しますし、最終的にダメだった場合は返金いたします。このシステムを導入して久しいですが、返金したのはひとり?ふたり?のレベルです。これは返金を渋っているのではありませんよ(^^ ) 最終的に遠近をかけられるようになる方が多いのです。当店で遠近両用を販売する場合をケースごとに説明します。

普段からメガネをかけている人
この中でも近視の方はほぼほぼ遠近両用メガネは問題なく移行できます。理由は割愛しますが、近視の人はまず安心して下さい。絶対とは言えませんがまず大丈夫です。次に遠視の方で遠用メガネを常用している方。この方も注意が必要ですが、まず大丈夫だと思われます。度数決定には慎重を期しますが、そこはこちらの話ですのであまり気になさらないで大丈夫です。つまりメガネをかけることに慣れていると言うことは遠近両用メガネに移行するのに大きなアドバンテージとなっています。

この中でも近視の方はほぼほぼ遠近両用メガネは問題なく移行できます。理由は割愛しますが、近視の人はまず安心して下さい。絶対とは言えませんがまず大丈夫です。次に遠視の方で遠用メガネを常用している方。この方も注意が必要ですが、まず大丈夫だと思われます。度数決定には慎重を期しますが、そこはこちらの話ですのであまり気になさらないで大丈夫です。つまりメガネをかけることに慣れていると言うことは遠近両用メガネに移行するのに大きなアドバンテージとなっています。

普段メガネをかけない人
このグループで近視の人はまあおられないので、正視、遠視の方がほとんどです。普段からメガネを常用しない方がいきなり遠近両用メガネをかけてもほぼ老眼鏡と同じ扱いになってしまいます。つまり近くを見るときにしか遠近両用メガネをかけない、です。最初のイラストで描いたとおり、遠近両用レンズの近用部分はとても狭いです。ですのでこれはもったいない。それをするならはじめから老眼鏡を購入した方が価格的にも性能的にもお得です。でも普段メガネはかけないが、遠くもだんだん見にくくなってきた。こういう方はどうせなら遠近にした方がどちらも見えていいのでは、とお求めになる事が多いのですが、僕はこの方たちにすぐに遠近両用を売るかどうかはすぐには決めません。特に老眼になるまでは視力は1.2とか1.5あった、なんて人はもう要注意です(^^ )
なぜなら、この方々のほとんどが遠視だからです。今までメガネを常用しない遠視の人ほど遠近に慣れない確率は高いです。僕の経験上、以前は視力が良かったという人の中で正視の人は50人に一人くらい。いや、それよりも確率は低いかも?とにかくほとんどの人が遠視なんです。この方々はメガネに対する抵抗も大きく、老眼もだいぶ進んでからでないとメガネ屋さんに行きません。つまり老眼も結構進んでいる状態でご来店なさるのです。これに対する対処方法は色々あります。その事はまた別に機会に詳しく書くとして、このグループでどうしても遠近に慣れたい、かけられるようになりたい、と言われる方には、まずは度数が緩めの遠近両用メガネ、遠く専用の単焦点メガネ、それと中近メガネをお勧めしています。中近メガネもだんだん増えてきましたが、このことはまた別の機会に。中近メガネを除けば近くの見え方にはご満足いかないと思いますが、まずはメガネをかけることに慣れていただきます。慣れればもう条件をクリアしたのも同じです。先のグループ、普段からメガネをかけている遠視の人に準じて遠近をお勧めしています。

当店では遠近両用メガネをかけられない人が少ないと言いましたが、タネを明かせば無理に最初からがっつり度数を矯正した遠近を作らないからかけられない人が少ないわけですが(^_^; でも大事なのはこの方たちは最終的に遠近両用メガネをかけられるようになっています。ココが大事なのです(^^ )

性能

イラストの通り、どこにもピントが合わない範囲(収差領域)がレンズ両端にあります。それはレンズ下方になるほど増えていきます。しかもレンズの場所によって度数が様々に変化しますので、見えると言えば見えますが、スキッとは見えないです。遠方視の場合でもっともよく言われるのが車の運転の際、ドアミラーが見にくいです。助手席側のドアミラーを見るときに横目で見るくせのある方に多いです。近方視の場合は読書、書類作成など10分以上近くを見続けるときなどは快適でない場合が多いです。このような場合は遠近と老眼鏡を作って下さいとよく言っていました。これは長時間の近業作業は老眼鏡を使い、それ以外は遠近両用メガネを使ういわゆる使い分けをするためです。遠近両用メガネは完璧ではありません。たとえこれをかけても老眼ではなかった頃の見え方には確実に劣ります。

遠くにしろ近くにしろ中間にしろその距離のものをしっかり見たい場合にはその距離にあった単焦点レンズがお勧めです。特に読書、書類作成などの場合は老眼鏡の方が便利な場合があります。ただこれだと明視できる奥行き-例えば手元40センチから50センチ-は見えてもそれから先がぼやけます。パソコンと書類の見える度数は正確には違うのです。

その解決方法としては今需要が多い中近レンズや近々レンズ(近用ワイドレンズ)と呼ばれるレンズを使われる方が多くなっています。どちらも遠近両用の最大の弱点である近用部の狭さがぐっと広がり、デスクワークがしやすくなります。その代わり遠方視が犠牲になるので遠くはよく見えません。このあたりは販売スタッフとよく相談して決めないといけません。

別の解決方法としては高性能の遠近両用レンズにすることです。性能が良くなればなるほど見えない範囲、収差領域が減ります。ということは見える範囲が増える→揺れ、ゆがみが少なくなる、となるので汎用品に比べ格段にかけやすくなります。当店の最高級遠近両用レンズを販売する際、私は冗談っぽく「これでダメなら遠近をあきらめてください。これ以上揺れ、ゆがみの少ないレンズはありませんから」と言ったりしています(^^ )

最後に言いたいこと

いろいろ書きましたが、僕の言いたいことはほとんどの人は遠近両用メガネはかけられると思っていますし、その方がメガネを掛け替えるよりも遙かにストレスがないです。そのために重要なことは「最近近くが見にくくなってきたな」と思い出したら我慢せずメガネ屋さんに行くことです。早い内に何らかの解決策は見つかるはずです。老眼世代の方、どうか遠近両用メガネで快適な視生活を送って下さい\(^o^)/

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