補聴器と集音器の違い

補聴器と集音器、どう違う? 

眼鏡に比べまだまだ認知度が低い補聴器。とはいえ最近は少しずつではありますが、装用している方が増えているように思います。それは補聴器の進化が影響していると思います。数年前に比べて格段に性能が良くなった補聴器。今回は補聴器と集音器の違いをくわしくお伝えします。

・会話中、聞き返すことが多くなった ・体温計、インターホンなどの電子音が聞こえにくくなった ・テレビの音が大きいと言われた ・相手が何を言っているか分からないまま相づちを打ったら後でトラブルになった・・・などなど、当てはまる事例はありませんか?ひとつでも当てはまることがあれば、私としては補聴器を検討するべきだと思います。

現役で働いている方にとっては聞き漏らしなどがあるといけないので補聴器の必要性を感じる方が多いのですが、いわゆる老人性難聴の方はリタイアしている方も多く、そんな場合はもうそんなに聞こえなくても自分自身は困っていないので補聴器はまだまだ必要ない、と思われている方も多いと思います。しか――し!私はココで声を大にして言いたい。

困っているのはあなたではありません。家族、友人などの周囲の方々が困っているのです!と

メガネの場合見える見えないは個人の問題で他人に迷惑をかけることは少ないですが、難聴の場合、自分より周囲の人が困っていると言うことを強く認識していただきたいと思います。

悪い人ではないんだけれども、あの人に話をしても通じないときがあるから話さないでおこう。何度も聞き返すから話すのがおっくうだ。呼びかけたけど返事をしなかったのでまぁいいか。周囲の人はそう思っているのですよ。またはっきり聞こえなかったけど生返事で「うんうん」と言ったら後でトラブルになったなど。そんなことを繰り返している内に今までスムースだった人間関係がぎくしゃくしてくる場合があります。

少し大げさに書いたかもしれませんが、少なからずそう思っておられる方はおられるはずです。本当に人眼関係がぎくしゃくする前に、補聴器をご検討ください。またこれを読んでいただいている方の中には難聴者の近親者の方もおられることと思います。父が耳が遠いから補聴器をして欲しいけど、補聴器って??ここではそんな方にも分かるように、説明したいと思います。

聞こえが悪くなって先ず考えるのが集音器、補聴器でしょう。新聞広告でも数万円くらいから販売していますよね。私たちが販売している補聴器は1台約10万円からです。それとどう違うの?と思われるのは当然と思います。

まずは集音器。これは字のごとく音を集めて大きくする機器です。集音器はそこに入ってくる音すべてを大きくします。つまり聞きたくない音、環境音まで大きくします。車の音。外のざわつき、足音などなど。なので集音器から出る音を外で聞くとその環境音が大きくなりすぎて肝心の人の声が聞こえにくいです。私はよく言うのですが、家の中で一人でテレビを見る、1対1で話をする、こんな時は集音器でも役に立ちます。なぜなら家の中だと環境音が少ないからです。音は人の声だけですのでそれだけを大きくしてくれるのでまだ使えます。でも外ではほぼムリです。先に書いたように環境音がうるさすぎてとても使い物になりません。

新聞などの広告で数万円の補聴器が販売されています。これらも集音器に比べて多少は雑音をカットしてくれる機能があるタイプもありますが、実際に使い物になるかと言われると、疑問が残ります。

集音器や数万円の補聴器は家の中などの静かな環境の中、1対1で使われるのは大丈夫かと思います。ですが私たちが求めているのは活動している間中装用できるものです。ちょっとした呼びかけに反応しようとすると補聴器をしていないと気づきません。当店のお客様の中で高度難聴の男性で奥様と二人暮らしの方がおられます。高度難聴とは耳元で大きな声を出してようやく聞こえるレベルの方です。この方、日中はもちろん寝ている間も補聴器をされています。夜中に身体の不自由な奥様に何かあったら大変。呼ばれたらすぐに起きられるように常に補聴器をされています。この方にとって補聴器はもうすでに自分の耳の一部なんです。なので補聴器をはずす、という概念がないのです。まあこれは極端な例ですが、いずれにせよ、常に装用でき聞こえを補助する機器は1台10万円以上する補聴器になるのです。

まとめて簡単に書いてみると

  • 集音器:すべての音を大きくするので声だけでなく雑音(環境音)も大きくなります。
  • 数万円の補聴器:雑音を抑える機能がついているものもありますが、これはエアコンや扇風機などずーっと鳴っている雑音(定常波と言います)をカットする機能で突発音には対応していません
  • 補聴器店が扱う1台10万円以上する補聴器:定常波はもちろん突発的な音にも対応します。また機種によっては指向性と言い、正面で会話している場合、周囲の音をぐっと抑える機能であったり、補聴器から出てくる音がより聞き取りやすい音になったりします。

となります。

イメージ図で書くとざっくりこんな感じです。10万円以上の補聴器ではこれ以外でも価格によってより聞き取りやすい、装用しやすい工夫がなされています。

では難聴の方すべてが補聴器によって聞こえが改善されるか、と尋ねられると答えはノーです。補聴器をしても聞こえが改善されない方も残念ながらおられます。じゃあどうすればいいの?となりますが、その答えが購入前に分かる測定があります。それが「語音弁別測定」です。この測定、補聴器を販売するに当たってと――――っても大切な測定です。できるだけ簡単に説明しますのでぜひご理解いただきたいです。

難聴の方でも大きな声を出せば会話が成り立つ方がいるとします。例えば60㏈では不安だが70㏈以上の大きさの言葉ならほとんどが理解できる難聴者がいるとしましょう。㏈はデシベルと読み、音の大きさを表す単位です。ここでは難しく考えないでただ単位なんだとだけ思っていてください。

ちょっと大きめの声の会話は50~60㏈くらいです。70~80㏈で言葉が理解できるのなら、補聴器で20㏈音を大きくすれば50dBの声は70dBに、60dBの声は80dBになるのでその方は言葉が理解できると推測されます。これを購入前の測定でこの方がどのくらい言葉が理解できるかを調べるのが語音弁別測定です。

ところがたとえ音を大きくしても言葉として理解しにくい方も意外におられます。80dBでも90dBの大きさでも言葉の理解が半分以下の場合、たとえ補聴器で音を大きくしても言葉は理解しにくいです。言葉は発せられる声のうち60%が理解できれば会話が成り立つとされています。逆にそれ以下になるとなかなか会話が成立しません。

補聴器は音を大きくする機器です。大きくするだけで言葉をはっきりさせるわけではありません。専門用語で明瞭度と言います。明瞭度を多少上昇させる補聴器はあることにはありますが、その性能はまだまだです。

語音弁別測定をするとその方の言葉の理解度がある程度予測できるので、補聴器に期待していいこと、いけないことが購入前に分かります。購入前に分かるのはとても大事なことです。買ってから「補聴器をしても何言っているか分かれへん!」となるのはお客様、販売店ともに避けたいことですから。当店では補聴器の購入を検討している方全員にこの測定をしています。と言いますが、これをしないと補聴器を勧めることができないくらい大切な測定と思っています。

話は戻りますが、言葉を理解していただくように調整できるのが補聴器で、集音器ではできません。集音器はせいぜい出てくる音の大きさを調整するくらいですから。言葉を理解するためにはもっと細やかな調整が必要なのです。

集音器と補聴器の違いがある程度おわかり頂けましたでしょうか?疑問点などありましたら、購入するしないにかかわらずまずはご相談くださいね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA