補聴器の装用効果の測定

初めて補聴器を購入された方の調整はいきなり目標の大きさにはしません。いくら高級な補聴器を購入してもやはり機械の音。生音とは違います。

ですので目標よりもわざと低めに設定します。補聴器装用のまず初めの目標は「きこえ」より「慣れ」です。

その後定期的にご来店いただき都度調整をしていき徐々に目標値に近づけます。

今回の方も購入以来、毎日装用していただいています。聞こえに関して本人的には問題ないようですが、では実際どのくらい聞こえているのかを客観的に判断するために測定しました。

オージオグラム、純音測定です。ヘッドフォンからピー、ピーという音が聞こえたらボタンを押します。

この測定はその人が聞こえる最も小さい音がどのくらいの大きさなのかを音の高さ別に調べるのが目的です。

グラフの下に印がつくほど悪く、上になるほど良い聞こえになります。

今回は裸耳、補聴器をしていない状態を、補聴器をした状態で測定した結果をで表しています。

この方は元々125~500Hzの比較的低い音に対しては聴力がよく、補聴器もいらないレベルなのですが、1000Hz以上の高さになるとがたっと聴力が低下します。

人の声はおおよそ500~4000Hzですので人の声が聞こえにくい耳になっています。

補聴器を装用することによって1000Hz以上の音に対して聞こえが改善されているのが分かりますが、4000Hzに関してはまだ少し足りないようです。この周波数帯は子音「h」や「s」が含まれる音域です。なので「ふ」と「す」の聞き間違いの原因になると考えられます。

またこの音域はハウリングや違和感の原因になりやすい音なので音を上げるのも慎重にしなければなりません。

幸い、違和感はなさそうなので今回は2000、4000Hzの音を上げました。これでまた様子を見ていただきます。

このように客観的に聞こえを判断することはとても重要です。

「聞こえますか~?」と聞くと実はたいがい「聞こえてる」と答えますよ^^;

今回もまさしくその通りでしたが、今回の調整でより聞こえやすくなると思います。

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