隠れ遠視とは

昨日のブログで僕が隠れ遠視の人ほどメガネをかけて欲しいと書きました。今日はその理由を書きたいと思います。

まずは自分が隠れ遠視かどうかを判断してみて下さい。

  • 視力が裸眼で1.0以上ある
  • 老眼が人より早く来たみたい
  • 老眼までとは言わないが、スマホの文字の大きさは大に設定している
  • 仕事でパソコンを見ることが多い
  • 夕方になると眼が疲れる

上記項目でふたつ以上当てはまれば隠れ遠視の可能性はかなり大きいと思います。特に一番上。視力的には何も問題は無いように思える設問ですよね。でも隠れ遠視の可能性を捨てきれないのです。

では隠れ遠視とはどんな状態なのか説明します。

その前に中学生の理科で勉強したことのおさらいです(^_^)

屈折異常のイラストです。

無限遠方から来た1点の光源は平行光線になります。この光は眼の中のレンズ(角膜と水晶体)によって屈折(光が曲がること)して眼の後ろのどこかで1点に交差します。この1点に戻る位置によって正視、近視、遠視に分かれます。今回は乱視のお話は割愛しますね。

イラスト通り眼球の後ろの壁ぴったり(網膜)に1点が交われば正視です。

近視の人は正視の人に比べて眼の中のレンズが分厚い(近視イラストグレーの部分)ので光がたくさん曲がります。ですから光は網膜の手前で交わり、結果網膜上ではぼやけて見えます。

対して遠視の人は正視の人に比べてレンズが薄いです。(遠視イラスト濃いグレーの部分)レンズが薄いと光は曲がりにくいので網膜の後ろで光が交差し(遠視イラスト実線)結果網膜ではぼやける・・・・はずなのですが、ここからがややこしい。

遠視で網膜上にうまく像が写らない場合、眼の中のレンズ-この場合は水晶体だけです-がこれでは見えないので勝手に膨らんでくれます。(遠視イラスト緑色部分)そうすると正視の人と同じように網膜上に光が交差するようになり、バッチリ見えるようになります。(遠視イラスト緑色破線)眼の中のレンズは無段階調節、メガネのレンズのように階段状の飛び飛びではありません。ですのでそれこそぴったりと網膜上に光を揃えてくれるのです。そうすると「見えてる」になるのです。

正視、遠視の方が共に視力が1.2あったとしても、眼の中の状態が全く違っているのです。正視の方は水晶体が仕事をせずに、遠視の方は水晶体が膨らんだ状態(仕事をして)で視力が1.2なのです。

ここからもう1段階話がややこしくなります。できるだけ簡単に書きますのでどうかついてきて下さいね。

眼の中のレンズが膨らむのは遠視を矯正するため?いえいえ、本来の目的は近くを見るために膨らむのです。

近くのモノを見るときに眼の中のレンズは膨らみます。どのくらい膨らむかと言いますと見るモノの距離によって変わります。

50㎝で2D、33㎝で3D、25㎝で4Dとなります。Dはレンズの度数の単位ですが、ここでは深く考えなくても良いです。50㎝のモノを見るのには2の力が必要でそれだけ水晶体が膨らむ、と考えて下さい。

見るモノが近くなればなるほど大きな力が要るので、その分水晶体もより膨らまないと見えないのです。

水晶体が膨らむ力は実は10才の12Dをピークにどんどん下がっていきます。ちなみに12Dは眼前8㎝です(^_^) 小学生の頃は眼前8㎝のモノまでぼやけずに見ることができたと言うことです。 40才になると膨らむ力が4Dまで下がります。つまり40才だと眼前25㎝より近いモノがぼやけはじめるのです。これが老眼の始まりです。一般的に近くを見るときは30~40㎝ですのでまだ大丈夫ですね(^_^)

話を遠視に戻します。遠視の人は正視の人に比べて眼の中のレンズが薄いと書きました。つまり光を曲げる力も弱いのです。仮に遠視イラストの緑色の部分の力を1Dとしましょうか。

そうするとこの方は遠くを見るのにも眼の中のレンズは1D膨らみ続けています。先に書いたように40才になると膨らむ力が4Dになりますが、この人は遠くを見るのにすでに1D使っているので近くを見るのには3Dの余裕しかないのです。3Dだと33㎝から手前はぼやけます。

同じ40才、同じ遠方視力1.2 でも正視なら無限遠~眼前25㎝まで見えますが 1Dの遠視だと無限遠~現前33㎝となり見える範囲(奥行き)が狭くなります。これが隠れ遠視です。なかなか発見しづらいです(^_^)

これが老眼が人より早く来る原因です。もちろん調節不全という疾病(?)も存在しますので絶対にとは言えませんが、調節不全の方よりも遠視の方の方が圧倒的に多いです。

この1D遠視の方が1Dの遠視のメガネをかけるとどうなるでしょう?

遠くを見るのにはもうメガネの助けがあるので眼の中のレンズは膨らむ必要がありません。つまり遠くの見え方は変わりません。変わりませんが、近くに関しては正視の方と同じように近くを見るのに4Dの力があるので眼前25㎝まで見えるようになり、老眼ギリギリセーフとなります。

これが50才くらいになるともう老眼鏡が絶対に必要になってきます。こうなったときに初めてメガネをかけるのと、40才過ぎで遠く~近くが見えるメガネをかけ慣れていると老眼鏡、遠近両用など色んな選択肢が選べるようになります。メガネをかける抵抗も減っています。

この話を接客ですると、「見え方が変わらないのになんでメガネをかけなあかんの?」と必ず突っ込まれます(^_^)

確かに遠くの見え方は変わりませんが、その分近くが見やすくなります。スマホの文字を大きくしなくても大丈夫です。将来本格的に老眼になってもスムースに移行できます。何よりも眼、身体が無理をしなくなるので夕方の疲れ方も変わりますなど、色々メリットを言いますが、正直メガネを作る方は少ないです。ですが数が少ないですがその頃からメガネをかけるようになった方は50才を過ぎて本格的な老眼になっても本当にスムースに度数を変更するだけでまた見えるようになります。また遠近両用メガネなどへの変更も抵抗なく移行できるのです。

何よりも普段の生活で「見る」ための苦労が断然減っています。ストレス無く見られているのです。メガネをかけるのがイヤだからと無理して頑張って近くを見るのとでは大きな差があります。

さあ、どちらを選ばれますか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA