補聴器を装用する目的

先日の補聴器のお客様です。

右耳はまあまあ聞こえるけど、左耳が聞こえにくい。仕事の関係上、左側の人の声が聞きたいが聞こえにくい・・何とかならないか、というご依頼でした。補聴器経験はありません。取りあえず聞こえの測定をしました。その結果。純音測定(ピーピーとかプープーと言う音を聞き分ける)では少し左が弱いかな?くらいのレベルでした。

ところが語音弁別測定(言葉の聞き取り度)では・・右は音を大きくすれば90%以上の言葉が聞き取れるのに対し左は50%がやっとでした。

たとえば・・
「明日映画を見に行こう」と人から言われたとき、

「あ〇たえいがを○にいこう」

12音中10音が理解できたのでこの場合語音弁別は10÷12×100で言葉の理解度、語音弁別は83%となります。コレならだいたい何を言っているか想像つきますよね。ところが

あ○た○いがを○にいこ○

この場合ですと12音中7音しか理解できなかったので7÷12×100で語音弁別は58%となり、ちょっと文として想像できにくいです。右耳では会話が成り立ちますが、左耳では正直厳しいのがお分かりでしょうか?

この場合補聴器の目的は右耳は言葉の聞き取り。そして左耳は何か音がしたぞ、と分かることとなります。

このことを補聴器を購入する前にお客さまに説明することが大事なんです。

買ってから何や、左は言葉が分かれへんやん!こんなん補聴器してもムダやん。高いモン買わされたわ~・・・これ最悪です。お客様の信頼は脆くも崩れます・・

補聴器
写真はイメージです。

今回のお客さまにもご購入前に十分説明しました。両耳装用をお勧めします。ただし、本当は左耳で聞き取りが十分にできたらいいですが残念ながらそれは難しいです。でも、音がしたのは分かります。補聴器無しでは聞こえない音が聞こえます。音がしたらそちらに顔を向け、聞き返して右耳で聞く。これが今のベストな使い方です、と。

今回のお客さまも納得され、ご購入頂きました。そして、私が説明したような使いかをすることで、仕事がスムースになったと言って頂きました。左側の音がこんなに聞こえていなかったのかと驚いたとも言って頂きました。

それと、写真のような補聴器の大きさでしたらワイヤレス機能がつけられます。このばあい左耳の補聴器の音を右耳の補聴器に飛ばすことができます。方向感覚はなくなってしまいますが、どうしても左側の声を聞きたい、という状況の時には有効な手段です。

言葉を聞き取ることだけが補聴器の目的ではありません。また補聴器に過度の期待をさせてもいけません。

私は購入される前に必ず語音弁別の測定をし、それをお客様に説明しています。

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