無理した視力1.0 遠視編

昨年の10月に近視編を書いて依頼ずっと放ったらかしにしていました。近視編とくれば遠視編ですよ、はい(^_^;)

当店のお客様は老眼世代が多いです。その中には老眼になるまでメガネという物にお世話になっていない方も多いです。そんな方々がおっしゃる決まったフレーズ。

「昔は視力自慢やったのに・・・」

こうおっしゃるほとんどの方が遠視です。老眼になって、つまり近くが見えなくなってメガネ屋に来ているわけで、遠くはよく見えているのですが、実はその「遠くがよく見えている」がくせ者なんです。

遠視の説明です。無限遠方からの1点の光は平行光線となって眼に入ります。眼の良い=正視の場合、その平行光線は眼球の後ろ=網膜で1点に交わるのですが、遠視の方は正視の人に比べて眼のレンズ=水晶体が薄い、あるいは眼球そのものが正視眼に比べて小さいため網膜の後ろで交わってしまいます。その様子が上の図の黒線です。

ところが眼はお利口さんでこのままでは網膜上は点がぼやけているのでこのままではいけないとレンズが膨らみます。膨らむと光もより曲がるので網膜上にピタッと交わるようになるのです。それを緑色で表しています。

このレンズの膨らみは当然自覚できません。ですが、遠視の方は目が開いている状態では常に水晶体が膨らんでいるのです。だって膨らむのをやめたらぼやけちゃいますから。

水晶体は連続的に厚みを変えることができます。ですので網膜上にびたっ!と線が交わります。つまり視力が良いのです。「昔の視力は1.5とか2.0やったのに・・」と言われますが、それは視力が良いだけで眼の状態としては水晶体がずっと膨らんだ緊張状態にあったのです。つまり今回のブログタイトルにあるように「無理した視力1.0」となるのです。

とはいうものの、水晶体が膨らむ力は30代でも十分にあるので遠視の人は自覚できませんし、私は眼が良いと思い込むのは無理もないことと思います。

もともと水晶体が膨らむのは近くを見るためにその機能があります。老眼とは近くを見るのに必要な水晶体の膨らみが得られない状態のことを言います。

ここで簡単?な例を説明します。

分かりやすいように眼前25センチの物を見るのには4Dの膨らみが必要です。Dはレンズ屈折の単位ですがまあ気にしないで下さい。

正視の人は25センチの物を見るために水晶体は4D分膨らみますが、たとえば1Dの遠視の人は遠くを見るのに既に1D使っていますので25センチの物を見るためには合計5Dの膨らみが必要になるのです。

40代前半で老眼になったと言う人はほぼ間違いなく遠視です。理由は上に書いたとおり、遠くを見るのに既に水晶体が膨らんでいるので余裕が少ないため近くが見えなくなるのが早くなるのです。この人には老眼鏡は要りません。1Dの遠視の眼鏡を作ります。そうすると遠くを見るのに必要だった1Dはメガネが助けてくれるので近くを見るために膨らむ量が増えるので近くが見えるようになります。つまり1Dのメガネを常用するだけで遠くも近くも見えるようになるのです。

ところがです!生まれて40年メガネなしではっきり見えてきた人がいきなりずっとメガネをかけろと言ってもまあかけないんですよ、これが(^_^;)

しかも理論上メガネをかけるかけないで視力は同じはずなのですが、レンズを通すので自覚的にはメガネなしより見にくいと言われる人がほとんど。結果1Dのメガネを老眼鏡のように近くを見るときにしか使わない。遠くは相変わらずメガネなしで水晶体を膨らませ続けているのです・・・

これが50代になるともう我慢できなくなるので遠くも近くもメガネをかけることになるのです。

無理した視力1.0。近視の人に比べ遠視の人はメガネに慣れていないという理由で改善するのはとても難しいです。

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